【TORG】愛するからこそ

 注)この日記は、昨年11/26のTORGセッションに関するものです。諸般の事情で、続きを書くまでに随分時間が経ってしまいましたが、よろしければ以前の日記もご覧ください。

 その1 http://SNS.jp/view_diary.pl?id=1963891296&owner_id=17546245

 その2 http://SNS.jp/view_diary.pl?id=1963922542&owner_id=17546245

 その3 http://SNS.jp/view_diary.pl?id=1963939630&owner_id=17546245

 その4 http://SNS.jp/view_diary.pl?id=1963954790&owner_id=17546245

第二幕

 ネテルとの再会の衝撃が去り、冷静さを取り戻した強力の胸に、ひとつの疑問が浮かびます。

 ネテルはエジプト角力横綱である以前に、ナイル帝国十総督のひとりです。なのに何故、彼はわざわざドバイまでやってきたのでしょうか。

 調査の必要がある、と強力は思いました。そして同時に確信しました。ネテルは、強力と角力を取るためだけに、全てをお膳立てしたのだ、と。

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 智の祭典・数学オリンピック。こちらでも何者かが陰謀を企んでいるかもしれません。ディはアブラーム王子に承諾をもらい、出場者が宿泊するホテルのパトロールの途中、少女フランソワとアンが滞在するホテルの一室を訪問します。

 フランソワは、床一面に大きな紙を広げ、そこから数式がはみ出そうな勢いで一心不乱に計算をしていました。ディが興味を示すと、彼女は目を輝かせます。

「あなた数学わかるの?!」

「いや、すまない」

「ふーんそっか。私が一番好きな数式は、星の動きの式! 今度教えてあげる!」

 フランソワに話を聞かれないよう、2人は彼女から少し距離を置きます。

「バロンに会ったよ」

「バロン・インサイディア?」

「ああ。フランソワは、ナイルのヴィランに狙われている」

 その時、窓の外から控えめなノックの音が響きます。ここはホテルの中層階。普通の人間には外からの訪問は不可能。つまり・・・。アンはナイフを取り、躊躇なく窓へ投げつけます。

「招き入れてくださってありがとうございます、レディ」

 独自の美意識を持つインサイディア男爵は、十分に対話の成り立つ相手です。アンとディの詰問に、彼は包み隠さず答えます。

「私の上司が、彼女を必要としているのです」

「上司?」

「ナイル帝国総督、ナタティリ様です」

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「あの少女は誰にも理解されず孤独です。彼女に、好きなだけ計算のできる環境を与えてあげよう、と総督はお考えです」

「・・・・・」

「彼女の幸せのためです。どうか私に、任務を果たさせてはいただけないでしょうか」

 フランソワを連れて行くことを見逃すよう頼む男爵に、アンは静かに答えます。

「あんたはあたしのことを好いているようだけど、あんたの中のあたしが、首を縦に振ると思うかい?」

「ディアン卿も同じご意見ですかな」

「オレは前に、ナタティリと戦った。ナタティリが、本当にフランソワの幸せを思っているとは思えない」

「やはり私の目に狂いはなかった」

 男爵は嬉しそうに頷くと、アンの真正面に立ちます。

「私は一旦退くとします。ですが、ご用心ください。聞き分けのいい輩ばかりではありませんから。(アンの耳元で)スナイパーがこちらを狙っています」

 アンは即座にヘルファイア・ライフルを抜き撃ちし、向かいのビルの上の刺客を仕留めます。大きな銃声と窓ガラスの砕ける音。続いて、窓から数名の企業忍者が飛び込んできます。

「フランソワ! オレの後ろに!」

 ディが急を告げるものの、当人は周囲の様子をまるで気にせず計算に没頭しています。

 銃声を聞き、駆けつける強力とスレヴ。ディがフランソワをガードしていることを確認し、2人は企業忍者の無力化に集中します。強力がひとりをソファーに投げつけKO。何やら首を傾げてはいますが、ネテルと相対していた時とは違い、目に光が戻っています。

(つづきます)